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労働審判について

労働審判制度の概要とメリット

労働審判制度とは、労働者と事業者との間の個別労働紛争を、迅速かつ柔軟に解決するために設けられた裁判所の制度です。

不当解雇や雇止め、未払い残業代の請求など、個人の労働問題において利用されています。

 

1. 労働審判制度の目的と意義

労働審判法第1条は『この法律は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(以下「個別労働関係民事紛争」という。)に関し、裁判所において、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者で組織する委員会が、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、労働審判(個別労働関係民事紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判をいう。以下同じ。)を行う手続(以下「労働審判手続」という。)を設けることにより、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることを目的とする。』と定めています。

裁判官(労働審判官)1名と、労働関係の専門知識や実務経験をもつ民間出身の労働審判員2名(労使双方の視点をもつ者)で構成される労働審判委員会が手続を担当します。

専門的な知見を踏まえた公平で実効性のある解決が期待できる点が大きな特徴です。

なお、労働者個人と事業者との間の紛争(個別労働関係民事紛争)が対象であり、労働組合と事業者との間の団体交渉等の紛争は対象外とされています。

2. 手続の流れと審理の特徴

労働審判手続は、原則として3回以内の期日で審理を終結させるルールとなっています。

労働審判法第15条第2項は『労働審判手続においては、特別の事情がある場合を除き、三回以内の期日において、審理を終結しなければならない。』と規定しています。

一般的な民事訴訟(裁判)が長期化しやすいのに対し、労働審判は申立てから数か月程度で迅速に解決へと導くことができます。

手続の場では、まず当事者間での話し合い(調停)による解決が試みられます。

調停が成立しない場合には、労働審判委員会が事案の実情や権利関係を踏まえた「労働審判」(判断)を下します。

労働審判法第20条第2項は『労働審判においては、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができる。』と定めており、復職だけでなく金銭解決も含めた柔軟な判断が可能です。

3. 異議申立てと訴訟への移行

労働審判委員会の判断(労働審判)に不服がある当事者は、異議を申し立てることができます。

労働審判法第21条第1項は『当事者は、労働審判に対し、前条第四項の規定による審判書の送達又は同条第六項の規定による労働審判の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる。』と定めています。

適法な異議申立てがなされると、労働審判は効力を失い、通常訴訟(民事訴訟)の手続へ自動的に移行します。

一方、異議申立てがなされずに確定した場合には、裁判上の和解と同一の効力を持ちます。

4. 利用する際の注意点

労働審判は非常にスピーディに進むため、第1回期日の前に主張や証拠を網羅的に整理・提出する必要があります。

初回の期日で心証が大きく形成されることが多いため、事前準備の遅れは大きなリスクとなります。

また、相手方が強い不服をもつと異議申立てにより通常訴訟へ移行し、二度手間になる可能性がある点にも留意が必要です。

おわりに

労働審判は、早期かつ柔軟な解決を目指すうえで極めて有効な選択肢です。

短期間での精密な主張・立証準備が求められるため、労働トラブルが発生した際は、お早めに専門家へご相談されることをお勧めします。

舟城法律事務所は、会津地方を中心に、福島県内全域で、離婚、労働問題などの民事事件や刑事事件を取り扱っております。離婚、労働問題、刑事事件、相続、交通事故についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。